logo     - 彩り豊かなお酒の個性を愉しむメディア -

日本酒の飲み比べ!多様な楽しみ方を紹介

日本酒
posted on 2023-02-02
updated on 2023-04-03

日本酒は、お気に入りの1本をそのまま単体で飲むのもいいですが、もう1本購入して味わいの違いを楽しむ”飲み比べ”をしてみるのもおすすめです。

こちらの記事では、今日からできる飲み比べの多様な楽しみ方を紹介します。

日本酒の飲み比べとは?

飲み比べとは、さまざまな日本酒を飲んでその味わいを比べること。

特に日本酒は、米・米麹・水というたった3つの原料でできているにもかかわらず、旨口(甘口)や辛口、コクやまろやかさなどさまざまな味わいの違いを楽しめるお酒です。飲み比べをすることで、味わいや香り、種類、飲み方など、自分好みの日本酒を把握することができます。

また、今まで飲んでいたお気に入りの味わいだけでなく、新しい好みに出会えるのが飲み比べの醍醐味。お酒の種類や銘柄、製法による違いや個性を感じることで、日本酒をより深く理解する第一歩に繋がります。

飲み比べ方は、大きく2つに分けられます。

  1. 1.2つ以上のお酒を飲み比べて、それぞれの味の違いを体感する
  2. 2.テーマ(旨口/辛口など飲み比べる際の軸)に沿ってお酒を飲み比べる


どちらがよいというわけではなく、自分に合った楽しみ方を見つけるのがポイントです。「今日は家にある2つの日本酒を飲み比べてみよう」「純米大吟醸のお酒を比較して、味わいの違いを楽しみたい」など、ちょっとした好奇心で飲み比べを楽しんでみてください。

飲み比べで楽しめる日本酒の違い

日本酒は種類や造り方、原料となる酒米などによって、さまざまな違いを楽しめるお酒です。あれもこれもと飲み比べするのではなく、まずはテーマを決めて飲み比べを楽しんでみましょう。

種類による違い

まずおすすめしたいのが、純米酒や大吟醸など特定名称酒による味わいの違いを楽しむ飲み比べです。日本酒は、原料と製法によって8つの特定名称酒に分類されますが、これらは大きく分けると「純米酒」「本醸造酒」「吟醸・大吟醸酒」の3つのグループに分類することができます。

飲み比べを楽しむためには、まず雑味が少なく華やかな味わいの「吟醸・大吟醸酒」から飲むのがおすすめです。その後にキレがありつつ米の旨味やコクに特徴がある「純米酒」「本醸造酒」を飲んでみましょう。

基本的には、すっきりとした味わいの日本酒を先に飲み、濃い味わいで濃厚なタイプは後に持ってくるのがポイント。こうすることで、特定名称酒の違いを口の中でしっかりと感じることができます。


日本酒の種類が一目でわかる!「特定名称酒」とはどのような分類?

造り方による違い

日本酒の造り方による違いで、飲み比べを楽しむのもよいでしょう。日本酒は、火入れを1回しかしないひやおろしや、その年にとれた米で醸造し春に出荷する新酒など、さまざまな造り方が存在します。こうした造り方の違いで、味わいの変化を楽しめます。

例えば、火入れをする日本酒としない日本酒、自然の乳酸菌を使用する日本酒と人工の乳酸を使用する日本酒など、さまざまな造り方をテーマにして飲み比べができるのです。

造り方によって味わいは全く異なるので、今まで知らなかった好みの味わいとも出会えるかもしれません。


「日本酒の造り方(作り方)」知ってますか?工程別に分かりやすく解説!

味の違い

日本酒を選ぶうえで指標となる旨口(甘口)・辛口という違いも、飲み比べのテーマにしやすい軸です。初心者の方は、ここから始めてみるのがよいでしょう。

基本的に「辛口」はすっきり淡麗で、「旨口(甘口)」は米の旨味やコクなど口に残りやすいテイスト。まずは辛口の日本酒を飲み、そのあとに旨口を含むことで、両方の味わいを口の中で楽しむことができます。

好みが分かってきたら「日本酒度」という旨口(甘口)・辛口を数字で表した指標を参考にするのもおすすめです。一般的に、日本酒度-3.5から -5.9が「旨口(甘口)」、-1.5から-3.4が「やや甘口」、+1.5から+3.4が「やや辛口」、+3.5から+5.9が「辛口」とされています。

香りによる違い

封を開けたときにフワッと感じる”香り”による違いで飲み比べをするのも楽しいでしょう。

例えば「純米酒」や「本醸造酒」は米のまろやかな香り、「吟醸・大吟醸酒」は華やかでフルーティーな香りなど、米一つでさまざまな香りが楽しめます。

酒米による違い

酒米の王様と呼ばれる「山田錦」やすっきり淡麗な味わいが特徴の「五百万石」など、日本で製造される約6割は上記2つの酒米です。しかし、それ以外にも日本全国でさまざまな酒米が栽培されています。

まずは近くの酒販店で、気になる日本酒の裏ラベルをみてみましょう(表ラベルに記載されていることもあります)。多くの場合、ラベルには使用した酒米が記載されているので、それを参考に日本酒を選び飲み比べてみてください。


酒米は日本酒の原料米!食用米との特徴の違いや主要な品種を徹底解説

造り手(酒蔵)のこだわりによる違い

日本全国にはあまたの酒蔵が存在しますが、それぞれの酒蔵には大切にしているこだわりがあります。例えば、無農薬で栽培した米を必ず使用した日本酒造りを行っていたり、機械に頼らず手作業で生産を行っていたり。酒蔵の数だけこだわりは存在します。

おすすめは、気になる酒蔵さんのホームページを覗いてみること。多くの場合、その酒蔵で大切にしていることが記載されているので、職人の日本酒への思いを実際に感じることで、日本酒の味わいをより深く理解することができます。

飲み方による違い

冷蔵庫が誕生する前は、今のようにさまざまな味わいの日本酒がありませんでしたが、当時の人々は工夫を凝らし、温度や酒器などによる飲み方の違いで日本酒を楽しんでいました。

例えば、これまで常温で飲んでいた日本酒を冷蔵にすると、キリッとした香味とすっきりとした爽快感を味わえます。逆に熱燗にすると、米のまろやかさやコクを味わうことができるでしょう。

また、素材の違う酒器で飲み比べをするのもおすすめです。飲むときの気分が変わるのはもちろんのこと、特に金属素材の酒器は注いだ日本酒をよりまろやかにする働きがあります。同一の日本酒でも、温度や酒器を変えるだけで味の変化を楽しめるのです。


日本酒の美味しい飲み方って?基本からアレンジまで徹底解説

日本酒の飲み比べを楽しむ方法

ここでは、飲み比べの楽しみ方として、「飲食店の利用」、「酒販店での購入」、「セット商品の購入」の3つを紹介します。

飲み比べができるお店を利用する

気軽に飲み比べを楽しめる方法の一つが「飲み比べができる飲食店を利用する」こと。

自分で720ml容量の日本酒を複数購入する場合、費用がかさんだり、酸化するまえに全て飲み切ることが難しかったりと、飲み比べのハードルが高くなります。しかし、飲食店であれば自分で日本酒を購入する必要がなく、手軽に飲み比べが楽しめます。

まずは、よく行くエリアで日本酒を取り扱う飲食店を調べてみましょう。いつも行くお店の近くに、日本酒を多く揃える飲食店があるかもしれません。お店によっては「飲み比べセット」として複数の日本酒を楽しめるセットを提供しているところもあります。

もし飲み比べセットがない場合でも、お店の店員におすすめを聞いて気になる日本酒を注文してみてください。

飲み比べに適した商品をおすすめしてくれる酒販店で購入する

豊富な種類のお酒を扱っている酒販店であれば選べる日本酒の幅も広がりますし、保存状態がより良い日本酒を購入できます。

酒販店にはお酒のプロがいるので「おすすめの日本酒」や「飲み比べしやすい日本酒」などの提案を受けながら、気になる日本酒を購入してみるのがおすすめです。これから日本酒に挑戦したいという初心者の方でも、プロのアドバイスを受けながらであれば、安心して購入できるでしょう。

飲み比べセットの商品を購入する

「飲み比べセット」として、複数の日本酒を詰め合わせで販売している商品もあります。

個別に購入する必要がなく少量サイズで飲みやすいものも多いので、量を飲まないという方にもピッタリ。個別に買うより購入しやすい価格にもなります。また、こうした飲み比べセットは通販でも購入しやすく、プレゼントやギフトにもよく選ばれます。

飲み比べセットには、以下のようにさまざまなくくりで日本酒をまとめた商品があるため、自分がどのような軸で比較したいのかによって商品を選んでみましょう。

同じ味わい(旨口/辛口)くくりのセット

日本酒を選ぶ際の指標となる「旨口」と「辛口」の味わいをそれぞれセットにした飲み比べセットは、すっきりとした辛口テイストが好きか、米の旨味を楽しみたいのかといった好みから購入しやすいのが魅力。日本酒ビギナーにもおすすめです。

旨口も辛口といっても同じ味わいのものはなく、ちょっとした違いを楽しめます。

人気・有名銘柄くくりのセット

日本酒ビギナーの方でも、有名な銘柄や人気の日本酒は飲食店で見かけたことがあるのではないでしょうか。そういった日本酒がセットになったものを、一度に楽しめるのが飲み比べセットの魅力です。

地域くくりのセット

地域ごとのお酒のくくりも、一度にさまざまな日本酒を楽しめるセットです。同じ都道府県でも造り方や酒米、使用する水にこだわりがあるため、酒蔵ごとの個性を楽しめます。旅行先の土産店で販売されていることも多いタイプです。

季節くくりのセット

日本酒は、季節によって限定酒が販売されています。春を連想させる華やかでフルーティーな香りが特徴の「春酒」、涼しげなブルーボトルがポイントですっきりと飲める「夏酒」、芳醇でコクのある味わいが楽しめる「秋酒(ひやおろし)」、そして秋に収穫される新米を使った「しぼりたて」。

それぞれがセットになった飲み比べセットは、日本の四季を感じながら味の違いを楽しめます。

種類くくりのセット

前述の「特定名称酒」くくりのセット。好きな味わいを一度に楽しみたい方におすすめです。例えば、米のコクや芳醇な味わいを楽しみたい方は「純米酒」や「本醸造酒」がセットになった飲み比べセット、華やかな香りが好きな方は「吟醸・大吟醸酒」セットを購入してみましょう。

コンテスト受賞銘柄くくりのセット

日本酒の品評会やコンテストは、日本国内ではもちろんのこと、最近では世界各国でも開催されています。コンテストごとに特徴は異なりますが、それぞれのコンテストで受賞した日本酒をセットにした飲み比べセットも販売されています。

いろいろな日本酒を自由に飲み比べてみよう!

特定名称酒や酒米による違い、飲み方による違いなど、日本酒の飲み比べには多様な楽しみ方が存在します。今家にある日本酒や、気になっている日本酒などから軸や条件を考えて、飲み比べを楽しんでみましょう。

また、飲み比べする際には飲んだ銘柄を記録しておくことで、自分の好みの日本酒の傾向を把握できます。そうした記録をアシストするツールを利用するのもおすすめです。「飲みログ」は、複数の銘柄が映った写真を投稿すると、どんな味わいだったのかをマップで記録することができ、後日飲み比べをする際にも役立ちます。

ぜひダウンロードいただき、飲み比べに活用してみてください。

https://app.nomi-log.jp/

むなかたりょうこ icon_twitter
・唎酒師(ききさけし)
利酒師。福島県出身・京都在住のWEBライター。現在は、お酒を中心にグルメや旅行、取材記事の執筆を行っています。好きな日本酒は福島県の「奈良萬」。

RELATED

TOPIC
ARTICLE
  • 味わい特集
    製法特集
    2022-12-19
    「にごり酒(にごりざけ)」とは?意味や定義、味わいを解説!
  • 味わい特集
    製法特集
    2022-12-19
    「生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)」とは?味わいや特徴を解説
  • 製法特集
    味わい特集
    2022-12-19
    「古酒(こしゅ)」とは?定義や味わい、特徴を解説!
  • 製法特集
    味わい特集
    2022-12-19
    「新酒(しんしゅ)」とは?定義や味わい、特徴を解説!
  • 製法特集
    味わい特集
    2022-12-19
    「あらばしり」とはどのような日本酒?定義や味わい、魅力をご紹介!
  • 製法特集
    味わい特集
    AD
    2022-12-19
    「原酒(げんしゅ)」とはどのような日本酒?定義や特徴・飲み方を詳しく解説
  • 製法特集
    味わい特集
    2022-11-25
    「ひやおろし」とはどのような日本酒?由来や特徴、味わいを詳しく解説
  • 原材料特集
    2022-12-19
    幻の酒米・愛山はどんなお米?特徴や愛山を使用した日本酒も紹介!
  • 製法特集
    味わい特集
    2022-12-19
    「雫酒(しずくざけ)」とは?意味や定義、味わいを解説!
  • 2022-12-19
    日本酒の美味しい割り方を大特集!基本から意外なアレンジまで紹介
SPONSORED
  • 製法特集
    味わい特集
    AD
    2022-12-19
    「原酒(げんしゅ)」とはどのような日本酒?定義や特徴・飲み方を詳しく解説
  • 製法特集
    味わい特集
    PR
    2022-12-19
    「山廃(やまはい)仕込み」とはどのような日本酒?意味や味わい、特徴を解説