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「無濾過(むろか)」とは?定義や特徴、味わいを解説!

日本酒
製法特集
味わい特集
posted on 2022-10-21
updated on 2022-12-19

近年、徐々に人気を集めてきている「無濾過(読み方・むろか)」の日本酒。スーパーやコンビニなど、身近な場所で取り扱われているのを見かけたことがあるという方もいるでしょう。

しかし、実際にどんな日本酒なのか詳しく知っている方は多くないかもしれません。

こちらの記事では、無濾過の日本酒の定義や特徴、味わいについて詳しく説明します。

<無濾過の成り立ち>

分岐条件種類細かい種類素濾過炭濾過
濾過無濾過完全無濾過--
無濾過(素濾過のみ)-
濾過-

無濾過の日本酒とは?

無濾過の日本酒は、その名前の通り「製造工程上の濾過の工程をカットしたお酒」。出来立てに近いお酒の旨味を、ダイレクトに感じることができる日本酒です。

搾りたての日本酒には、まだ生きている酵母や微生物などが多く含まれています。このままの状態では発酵が進んでしまい、味わいに変化が生じてしまう恐れがあるため、濾過をして香りや味わいの調節を行います。こうして出来上がった日本酒は、雑味がなくクリアな味わいに。全体的にバランスの良い状態に仕上がります。

一方で、無濾過の日本酒は、あえてこの濾過の工程を行いません。酵母や微生物が生きている状態のため、お酒本来の旨味やフレッシュさを楽しめます。

日本酒の品質管理や流通などの技術が向上したことによって、全国各地で無濾過の日本酒を飲めるようになりました。

無濾過の日本酒の特徴

それでは、無濾過の日本酒の特徴についてみていきましょう。

見た目・味わい

無濾過の日本酒は、ずっしりとしていて、飲みごたえ抜群。お米本来のフレッシュで濃い味わいを楽しめます。また、製造から時間が経過していくにつれ、徐々にさっぱりとした味わいに変化していきます。

見た目としては、少し黄色みがかった色をしているのが無濾過の日本酒の特徴。これは、日本酒の色味を調節するための濾過が行われていないからです。

濾過された日本酒との比較

濾過した日本酒と無濾過の日本酒には、明確な違いを感じることができます。

濾過された日本酒は、味わいや香りの調節が行われているため、さっぱりとした口当たりで、飲みごたえが軽快です。無色透明の色合いで、透き通った見た目をしているお酒が多くなっています。

一方で、無濾過の日本酒は、酒本来の少し黄色みがかった色合いで、雑味が多いのが特徴。ずっしりとした飲みごたえを感じます。しかし、酸素に触れることで味わいに変化が生じ、劣化する恐れもあります。

濾過した日本酒と無濾過の日本酒、それぞれで個性の違った味わいを楽しめるため、決して優劣があるわけではありません。個人の好みによって、スッキリとした日本酒が好きな方もいれば、フレッシュで飲み応えのある日本酒が好きな方もいます。

どちらが良い・悪いというわけではないことを理解しておきましょう。

無濾過と素濾過、完全無濾過との違い

無濾過の日本酒のことをより詳しく理解するために、濾過について解説します。

日本酒の製造工程における濾過は、大きく分けて「炭濾過」と「素濾過」の2種類に分けられます。「炭濾過」とは、活性炭の粉末を入れて、余分な雑味や色を取り除く濾過方法。「素濾過」とは、活性炭を使用せず濾過機を通して濾過をする方法です。

一般的に酒蔵が指す「無濾過」とは、「炭濾過」はせず濾過機のみを通している「素濾過」の状態のことをいいます。つまり、無濾過と謳っている日本酒でも、全く濾過をしていないというわけではないのです。

もちろん、濾過機さえ通さない日本酒を手がける酒蔵もあり、それらの日本酒は「完全」という表記ラベルが貼られ、「完全無濾過」として区別されています。

完全無濾過の日本酒は、無濾過の日本酒よりもさらに濃厚な味わいと、尖りのある酸味が特徴です。以下のチャートで、両者の比較をご覧ください。

無濾過の日本酒の種類

無濾過の日本酒には、いくつかの種類があります。

●無濾過生酒
●無濾過生原酒
●無濾過火入れ原酒

各種類の違いを簡単にチャートであらわすと、以下のようになります。

それぞれの違いについて、さらに詳しく解説します。

無濾過生酒

日本酒の品質を長く保つために行われる「加熱殺菌処理(火入れ)」をしない無濾過の日本酒を、「無濾過生酒(むろかなましゅ)」といいます。火入れをしないため、みずみずしくフレッシュな味わいを楽しめるのが特徴です。

無濾過生酒は、日本酒のフレッシュさを保つためにも冷蔵で保管するのがよいでしょう。

無濾過生原酒

一般的に日本酒には、アルコール度数を調整するために水が加えられます。この工程が「加水」です。

この加水という工程を割愛し、さらに火入れを行わない無濾過の日本酒を「無濾過生原酒(むろかなまげんしゅ)」といいます。

加水を行わない日本酒は、アルコール度数が高め。パンチが強く、しっかりとした重みがある味わいが特徴です。

無濾過火入れ酒

先に紹介した2つよりも、流通が少なく珍しいのが「無濾過火入れ酒(むろかひいれしゅ)」。火入れを行った無濾過の日本酒を瓶詰めしたものです。

無濾過のため、味わいはずっしりと濃いめ。火入れを行うことで、その状態を長く楽しめます。冷酒でも熱燗でも、どんな温度でもおいしく味わえる日本酒です。

無濾過火入れ原酒

無濾過火入れ酒で加水を行わないものを「無濾過火入れ原酒(むろかひいれげんしゅ)」といいます。

アルコール調節を行わないため、度数が高めでパンチが強い味わいが特徴。火入れを行うことで、劣化を防ぎ長く楽しめるようになっています。

無濾過のお酒を飲んでみよう!

無濾過の日本酒の定義や特徴について解説しました。飲み応え抜群の無濾過の日本酒に、興味を持っていただけたでしょうか。

注意してほしいのは、無濾過の定義は酒蔵によって異なるということ。無濾過と書かれた日本酒が、完全に濾過を行っていない日本酒とは限りません。もし気になる場合は、購入前にその日本酒について調べてみることをおすすめします。

今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ無濾過の日本酒を味わってみてください!

むなかたりょうこ icon_twitter
・唎酒師(ききさけし)
利酒師。福島県出身・京都在住のWEBライター。現在は、お酒を中心にグルメや旅行、取材記事の執筆を行っています。好きな日本酒は福島県の「奈良萬」。

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