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日本酒のコンテスト・品評会一覧!主要10選それぞれの特徴は?

日本酒
コンテスト・コンペティション
posted on 2022-11-27
updated on 2022-11-25

日本酒を選ぶ際に一つの指標となるのが、コンクール受賞銘柄。「全国新酒鑑評会で受賞!」や「ワイングラスでおいしい日本酒アワード受賞!」などの表記を見て、そのお酒に興味を持ったことがあるという方もいるでしょう。

以下の表は、日本国内外で開催されている主要な日本酒のコンテスト・品評会の一覧です。こちらの記事では、それぞれのコンテストの特徴についてまとめます。

コンテスト名参加銘柄数 (直近開催年)受賞銘柄数 (直近開催年)主要な受賞銘柄名 (直近開催年)コンテストの特徴
全国新酒鑑評会826点 (酒造年度2021年)入賞405点 金賞205点 (酒造年度2021年)奥の松、雪の茅舎 (酒造年度2021年)・全国規模で実施されるお酒のコンクール ・お酒の品質向上に貢献することを目的としている
ワイングラスでおいしい日本酒アワード1,064点 (2022年)最高金賞54点 金賞269点 (2022年)越乃梅里 純米吟醸、あたごのまつ 特別純米 (2022年)・ワイングラスを通して、日本酒が持つ香りや見る楽しさを感じるためのコンテスト
インターナショナル・ワイン・チャレンジ(SAKE部門)1,732点 (2022年)トロフィー(最優秀)32点 金メダル80点 銀メダル289点 銅メダル359点 大会推奨酒758点 (2022年)磯自慢 純米吟醸、出羽鶴 純米大吟醸 (2022年)・毎年ロンドンで行われる ・世界でもっとも大きな影響力を持つ
Kura Master960点 (2021年)プラチナ賞104点 金賞212点 (2021年)澤乃井 純米大吟醸、伯楽星 純米吟醸 (2021年)・フランスで開催 ・フランス人のための日本酒コンクール
全国燗酒コンテスト812点 (2021年)入賞204点 最高金賞42点 (2021年)陸奥八仙 特別純米、菊正宗 純米樽酒 (2021年)・世界で唯一、温めておいしい日本酒を選ぶコンテスト
SAKE COMPETITION1919点 (2019年)GOLD 47点 SILVER 155点 (2019年)飛露喜 純米吟醸、作 雅乃智 (2019年)・日本一美味しい市販酒が決まるきき酒イベント
全米日本酒歓評会576点 (2021年)金賞151点銀賞152点 (2021年)初亀 純米吟醸 東条山田錦、くどき上手 Jr.の雫 (2021年)・毎年アメリカで開催 ・日本国外で最も歴史の長い日本酒の品評会
ロンドン酒チャレンジ記載なし記載なし来福 純米大吟醸 別誂、蒼天伝 純米大吟醸・ヨーロッパで最も歴史が長い、日本酒に特化した品評会
ブリュッセル国際コンクール(SAKE selection)617点 (2018年)36点 (2018年)朝日山 純米大吟醸 越淡麗、上喜元 純米大吟醸 山田錦 (2018年)・ベルギーに本部を置く国際的なワインコンクールが新設 ・2018年初開催

日本酒のコンテスト・品評会一覧

ここでは、9つのコンテスト・品評会について、それぞれの特徴を詳しくみていきます。

全国新酒鑑評会

100年以上の歴史をもつ「全国新酒鑑評会」は、数あるコンテスト・品評会の中で最も長い歴史を誇ります。第1回の開催は1911年。これまでに、世に影響を与える日本酒を多く輩出してきました。

国の研究機関である酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が共催するコンクールで、お酒の品質向上に貢献することを目的にしています。毎年4〜5月に開催され、全国の酒造から約800点ほどの日本酒が出品されます。

2021年は826点の出品があり、そのうち405点が入賞。さらにその中で、205点が特に優秀と認められ、金賞を受賞しました。

ワイングラスでおいしい日本酒アワード

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」は、品質の良し悪しを競って格付けをすることが主目的ではなく、日本酒の需要掘り起こし、また文化の継承・発展を祈念して行うコンテストです。ワイングラスを通して、日本酒が持つ香りや見る楽しさをより実感し、新たに見出された日本酒の魅力を広く伝えていきます。

2011年から毎年開催されているワイングラスでおいしい日本酒アワードは、日本全国から約1,000点の応募があり、日本最大規模の日本酒コンテストです。

第12回を迎える2022年は、全国292の酒造会社から合計1,064点のエントリー(審査は1,061点)。メイン部門、スパークリングSAKE部門、プレミアム大吟醸部門、プレミアム純米部門、プレミアムスパークリングSAKE部門の5部門に分けられ、金賞269点、そのうち最高金賞が54点と認定されました。

インターナショナル・ワイン・チャレンジ(SAKE部門)

「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」は、世界でもっとも大きな影響力を持つといわれているワイン品評会です。1984年から毎年ロンドンで開催され、世界的な酒類のエキスパートによる厳正な審査が行われています。

2007年には、日本酒部門が創設されました。受賞した日本酒は、国内外から注目を浴び、中には数日で完売してしまう日本酒もあります。世界的な影響が強く、日本酒の海外進出に重要なコンテストといえるでしょう。

2022年のSAKE部門では、1,732銘柄が出品。「普通酒」「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」「スパークリング」「古酒」の9カテゴリーに分けられ、32点がトロフィー(最優秀)を受賞しました。

Kura Master

2017年からフランスで始まった「Kura Master」は、フランス人による、フランス人のための日本酒コンクールです。審査員はフランス人を中心としたヨーロッパ人で、ソムリエ、レストラン関係者、ホテル、料理学校関係者など飲食業界のプロフェッショナルで構成されています。

第5回の開催となった2021年の出品数は960点。純米大吟醸酒部門、純米酒部門、サケスパークリング部門、米品種 五百万石部門、米品種 美山錦部門の5部門に分けられ、そのうち104点がプラチナ賞、212点が金賞を受賞しました。さらにその頂点として、1点にプレジデント賞、5点にKura Master審査員賞が選ばれました。

全国燗酒コンテスト

燗酒に特化した品評会として開催されている「全国燗酒コンテスト」は世界で唯一、温めておいしい日本酒をレビューするコンテストです。「燗」という日本酒独自の魅力を発信することを目的とし、2009年からスローフードジャパン・酒文化研究所によって開催されています。

2021年に開催された全国燗酒コンテストの出品数は812点。お値打ちぬる燗部門、お値打ち熱燗部門、プレミアム燗酒部門、特殊ぬる燗部門の4部門に分けられ、246点が入賞しました。そのうち42点が最高金賞と認定されます。

SAKE COMPETITION

市販酒のみが対象の「SAKE COMPETITION」は、世界唯一の日本酒だけのコンペティションです。SAKE COMPETITION実行委員会主催で、2012年から毎年5〜6月に開催されています。

「ブランドによらず消費者が本当に美味しい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい」という理念のもと、出来るだけ多くの日本酒を集め、銘柄を隠した状態でのテイスティング、陳列順もパソコンでシャッフルするという厳正な環境で審査を行います。

2019年の出品数は、日本国内外から1,919点。純米酒、純米吟醸、純米大吟醸、吟醸、Super Premium、スパークリング、海外出品酒の7部門に分けられ、各部門上位10位の47点にGOLD、155点にSILVERが決定しました。(SUPER PREMIUM、スパークリング部門は上位3位、海外出品酒部門は上位1位がGOLD受賞)

全米日本酒歓評会

「全米日本酒歓評会」は、日本国外で開催されている日本酒コンクールの中で最も長い歴史を誇ります。国の研究機関である酒類総合研究所の指導のもと、全米日本酒歓評会実行委員会事務局により2001年から開催されています。

全ての出品酒は、ニューヨーク・ホノルル・ロンドン・東京の4都市で開催する一般公開の利き酒会、ジョイ・オブ・サケにおいて試飲用に展示され、3,500人以上の来場者が集います。

第21回を迎えた2021年には、576銘柄がエントリー。そのうち151品が金賞、152品が銀賞を受賞しました。そのなかでも優秀な出品酒には、グランプリ・準グランプリが与えられます。

ロンドン酒チャレンジ

欧州最古の日本酒品評会が「ロンドン酒チャレンジ」です。酒ソムリエ協会によって主催され、世界各地の酒ソムリエが選んだ審査員が審査を行います。日本酒の品質のほか、ラベルデザインや日本食以外とのフードペアリングなど、総合的に審査されるのが特徴です。

2020年には、開催以来初の取り組みとなるオンラインシステムを活用し「プラチナ賞」「金賞」「銀賞」「銅賞」が決定しました。

ブリュッセル国際コンクール(CMB) SAKE selection

世界最大規模のワイン品評会「ブリュッセル国際コンクール(CMB)」は、2018年から新たに日本酒部門「サケ・セレクション」を創設しました。

記念すべき第1回の開催は三重県で行われ、「純米大吟醸酒」「純米吟醸酒」「純米酒(特別純米酒)」「吟醸酒(大吟醸酒)」「本醸造酒(特別本醸造酒)」「スパークリング日本酒」「熟成古酒」の合計7部門で、617銘柄中36点がプラチナ・ゴールド・シルバーの賞を受賞しました。

コンテスト・品評会で受賞している日本酒を飲んでみよう

日本酒を購入する際に参考になる主要なコンテスト・品評会の特徴をまとめました。

コンテスト・品評会にはそれぞれに違った理念があるため、ぜひ気になった受賞酒を飲み比べてみてください。

受賞酒を味わいながら、各コンテスト・品評会の傾向について考えてみるのも面白いかもしれません。

むなかたりょうこ icon_twitter
・唎酒師(ききさけし)
利酒師。福島県出身・京都在住のWEBライター。現在は、お酒を中心にグルメや旅行、取材記事の執筆を行っています。好きな日本酒は福島県の「奈良萬」。