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日本酒の「辛口」ってなに?おすすめの辛口日本酒11選も紹介!

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posted on 2022-03-15
updated on 2023-07-26

はじめに

「辛口の日本酒」といわれたら、どのようなお酒を想像しますか?

料理の世界で「辛口」というと、カレーライス、麻婆豆腐、キムチ鍋などのように、辛いスパイスを使った、舌にピリリと刺激のある味を指します。

しかし、日本酒の「辛口」とは、そのように刺激的な味わいを指すわけではありません。
日本酒の味は、基本的に甘味・酸味・苦味・旨味から成り立っていて、辛味は含まれていないのです。

では、辛口の日本酒とはどのようなお酒なのでしょうか?こちらの記事では、利き酒師・酒匠(さかしょう)の筆者が、辛口の日本酒について解説します。

銘柄レビュー

千代の光
ちよのひかり

新潟県は、酒どころといわれるだけあって、日本酒蔵が日本一多い県。有名な酒蔵が多い新潟県の中で、知名度が若干低い千代の光ですが、淡麗辛口のお酒を飲みたいときは間違いない銘柄です。

今回ご紹介するのは「千代の光 特別本醸造 真(しん)」。米粉のようなシンプルな香りと、シャープな酸味・苦味が特徴です。日本酒度は+2ですが、典型的な辛口日本酒としての味わいを持ちます。

酒蔵の所在地は妙高市。妙高高原スキー場に行く機会があるときは、ぜひ「千代の光」を探してみて下さい。

越乃寒梅
こしのかんばい

越乃寒梅(こしのかんばい)は、酒どころ新潟県の中でも特に有名な銘柄です。特に50代以上の日本酒好き男性なら、多くの方が知っている銘柄でしょう。

時代が昭和から平成に変わるころ、日本酒の世界に「淡麗辛口」ブームが巻き起こりましたが、その火付け役ともいえるのが「越乃寒梅」。

今回ご紹介するのは「越乃寒梅 純米吟醸 灑(さい)」。越乃寒梅の中では比較的最近の銘柄ですが、シンプルでシャープな味わいは昔ながらの越乃寒梅を思わせます。

国士無双
こくしむそう

国士無双は北海道の日本酒。銘柄名はとても男性的な印象を与えますが、イメージの通り辛口のお酒が多い銘柄です。

今回ご紹介するのは「国士無双 純米大吟醸 北海道限定酒」。北海道産の酒米「彗星」と大雪山の伏流水を使って造られたお酒です。北海道限定酒といっても、通販を利用することで道外からでも入手できます。

フルーティな香り・酸味がキレ味の良さをもたらし、ついつい杯が進んでしまう一品です。

六根

六根(ろっこん)は青森県のお酒です。ルビー、タイガーアイ、エメラルド、ダイヤモンドなど宝石の名前がついたシリーズがあり、ラベルはその宝石を思わせる色をしています。全種類並べたら、きっと壮観でしょう。

今回ご紹介するのは「六根 純米吟醸ルビー」。リンゴやキウイのようなフルーティな香りと、蒸し米や綿菓子のようなふくらみのある香りが混ざり合い、しっかりとした純米吟醸感を楽しめるお酒です。

味は、最初ほんのり果実の甘味を感じますが、すぐにシャープな酸味と苦味が展開して、キレ味抜群。日本酒度-8とは思えないほど辛口の後味です。

七賢
しちけん

七賢(しちけん)は山梨県のお酒です。銘柄の由来は、3世紀の中国で、竹林に集まって学問・芸術・文学を楽しんでいたという「竹林の七賢」から来ています。

今回ご紹介するのは、竹林の七賢のひとり嵆康 (けいこう) の名前を冠した「純米吟醸 嵆康」。かんきつ系のスッキリした吟醸香が特徴的で、味わいも爽やかです。

お酒を飲み込んだ後も、フレッシュな酸味と苦味が残り、キレのいい後味が広がります。毎年、春先に一度だけ発売するお酒なので、買い忘れのないように注意したいところです。

太冠

太冠(たいかん)は、山梨県南アルプス市のお酒です。南アルプス天然水は日本有数の名水で、太冠の美味しいお酒を造るのに欠かせない原料となっています。

今回ご紹介するのは「太冠 ぎんから」。名前からして辛口のお酒という感じがします。香りには微かにフローラルな吟醸香がありますが、それよりもご飯や餅のようなふっくらした香りが強いので、香りからはあまり辛口の印象がしません。

しかし、口に含むと、これはもう辛口以外の何ものでもないというシンプルで爽やかな味わいで、淡麗辛口タイプと言えます。

本金
ほんきん

本金(ほんきん)は、長野県上諏訪のお酒です。上諏訪には、街道沿い700メートルの区間に諏訪五蔵と呼ばれる5つの酒蔵があります。酒ぬのや本金酒造は、その中で一番小さな酒蔵です。

今回ご紹介するのは「本金 本醸造 からくち太一」。先代杜氏のファーストネームが銘柄の由来です。普段の晩酌用に造られたお酒で、地元でも長らく愛され続けています。

香りは米粉のような硬さがあり、味は強い苦味が際立っていますが、その奥にほんのり旨味もあって、爽快な淡麗辛口と、ふくらみのある濃醇辛口の両側面を持ったお酒といえます。

大信州
だいしんしゅう

大信州(だいしんしゅう)は、その名の通り長野県の日本酒。北アルプスの天然水と、地元長野県の契約栽培米で造られた大信州は、柔らかな口当たりのものが多いようです。

今回ご紹介するのは、「大信州 純米吟醸 超辛口」。超辛口と銘打っているだけあって、きれいで強烈な酸味と苦味が口の中で主張して、とても爽快感のある味わいです。

ただ、単純な「辛口」ではなく、米の旨味もしっかりと乗っていて、味にふくらみのある奥の深い辛口日本酒といえます。

百十郎

百十郎(ひゃくじゅうろう)は、岐阜県のお酒です。銘柄名の由来は、明治時代の歌舞伎役者、市川百十郎から来ています。そのため、全てのラベルに歌舞伎の隈取りが描かれていて、かなりインパクトがあります。

今回ご紹介するのは「百十郎 純米吟醸 三桝紋 TRADITIONAL」。米粉の香りと、クレソンのような清涼な香りが混ざり、味は一瞬ほんのりと甘味を感じるものの、すぐにかんきつ系の酸味と穏やかな苦味が前面に出てきます。

淡麗辛口というよりは、濃醇辛口に近い味わいです。

杜の蔵
もりのくら

杜の蔵(もりのくら)は、福岡県の酒蔵です。明治時代に焼酎の蔵としてスタートして、現在は日本酒と本格焼酎を生産しています。杜の蔵の日本酒はすべてアルコール添加をしない純米酒で、酒米もほとんど地元福岡県産です。

今回ご紹介するのは「杜の蔵 純米吟醸 翠水」。洋梨を思わせる軽い吟醸香と、シャープな酸味と苦味で、すっきりときれいな味わいを感じるところは淡麗辛口です。

その後、ふっくらとした餅のような香りが鼻に抜けていくので、最後の印象は濃醇辛口となります。口に含んだ直後と余韻とで印象が異なる辛口日本酒です。

会津ほまれ
あいづほまれ

会津ほまれは福島県のお酒。酒蔵のほまれ酒造は、さまざまなコンセプトの下で酒造りを行っており、銘柄のラインナップがとても多い酒蔵です。福島県で開発された酒米を積極的に使ったり、地元喜多方産の酒米にもこだわったり、常に新しい挑戦を続けています。

今回ご紹介するのは「会津ほまれ山田錦仕込 吟醸酒」。百合や白桃のような華やかな吟醸香がするので、甘口かと思いきや、味は酸味と苦味が主体の淡麗辛口です。

シンプルな香味なので、料理に合わせやすいお酒です。

要素評価

主要要素

外観

濃淡
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< 淡い
濃い >
清澄度
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< 濁っている
澄んでいる >
粘性
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< 弱い
強い >
発泡度
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< 弱い
強い >

香り

香りの複雑度
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< 単純
複雑 >
香りの熟成度
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< 新鮮
熟成 >
香り
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< 穏やか
華やか >

味わい

濃淡
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< スッキリ
コク >
旨辛
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< 辛口
旨口 >
酸味
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< 弱い
強い >
複雑度(味)
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< 単純
複雑 >
熟成度(味)
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< 新鮮
熟成 >
余韻
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< 短い
長い >

おわりに

辛口の日本酒は、いろいろな料理に合わせやすく日常の晩酌にぴったりのお酒です。

しかし、辛口日本酒の味の感じ方は人それぞれです。日本酒度・酸度をチェックして、自分がどんなタイプの辛口日本酒が好きなのか、ぜひ飲み比べてみてください。

ただし、日本酒度・酸度は表記が必須ではないため、ラベルに記載されていない場合も多々あります。日本酒度・酸度が分からないときは、酒の名前に「辛口」「超辛」などの言葉が入っている銘柄を選び、まず試しに飲んでみるというのも一つの方法です。

ぜひこの記事をきっかけに、日本酒の世界をさらに深く楽しんでみてください。

加藤里加子 icon_twitter
・唎酒師(ききさけし)
・国際唎酒師
・焼酎唎酒師
・酒匠
もともとはただの酒好きリケジョOLでしたが、日本酒好きが高じて、唎酒師やその上位資格の酒匠を取得しました。現在は、女性唎酒師限定コミュニティ「女唎酒師軍団」のメンバーとして日本酒の発展・普及のため微力を尽くしつつ、日本酒をめいっぱい楽しむ日常を送っています。私が愛してやまない日本酒を、多くの人にも好きになって欲しいという思いを込めて記事を書いています。